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エネルギーの話

 

太陽エネルギー

今回は、自然エネルギーの王様『太陽』のエネルギーの話をしましょう。

太陽光発電はいまや再生可能エネルギーの花形のようですが、実は、太陽は私達の生活に欠かせないすべてのエネルギーの源と言っても言い過ぎではないほど、絶大なパワーを持っているのです。

太陽光発電は、その一部に過ぎません。その豊富な太陽エネルギーを上手に使う事こそが、エネルギーを自給自足する極意と言えるのです。

すべてのエネルギーの源と言える“太陽エネルギー”

太陽エネルギーとは、太陽から太陽光として地球に到達するエネルギーを指します。地球上の大気や水の流れや温度に影響し、多くの再生可能エネルギーや生物の生命活動の源となっています。太陽光が当たる場所ならばどこでもエネルギーが得られ、古代から多彩な形で利用されてきました。

物を乾かす、干す 濡れた衣類を乾かす事や、土器を乾かして作る。
穀物を乾かす。
乾かして殺菌する 食物を干してつくる乾物への利用。
育てる 農耕と牧畜。
点火 聖火の点火。

太陽から放射されたエネルギーのうち、地球に降り注ぐ太陽光は植物や植物プランクトンの光合成を行い、酸素やエネルギーを産生します。動物も太陽光を浴びることによって体温維持を行っているものがいます。私達人間もそうです。

また、日射量の変化つまり昼夜の移り変わりは、生物の活動に多大な影響を与えています。太陽のエネルギーは、雨を降らせて川を作り、風を起こし植物を育て、様々な自然エネルギーの源となります。

 

太陽光が太陽から放たれて地上に到達するまでの時間は約8分17~19秒。大気等による反射や吸収を受けながら、そのうち約半分が地表に到達します。地球に到達した太陽光線の1時間あたりの総エネルギー量は20世紀後半の世界の1年間で消費されるエネルギーに匹敵するといわれます。

そのエネルギーは、地上で振り分けられます。

  • 地上で熱に変わってしまうエネルギーは約45%
  • 海中に蓄えられるエネルギーは20数%
  • 風や波を動かす原動力へ変わるエネルギーは0.2%程度
  • 光合成に使われるエネルギーは0.02%程度
  • 宇宙へ反射してしまうエネルギーは30%程度

現代社会で研究が進められてきた、この太陽のエネルギーを利用する「太陽エネルギー変換技術」は、地上に降り注ぐ太陽の光を、電力や燃料など人間が使いやすい形に変換しようというもので、地球温暖化や化石燃料の枯渇など、21世紀の人類に立ちはだかる大きな問題を解決するカギとなるといえます。

2種類のエネルギーを2通りに利用する

太陽エネルギーの利用方法には、太陽光発電(太陽電池)のように、直接電気エネルギーに変換して利用するという光エネルギーを利用する方法と、ソーラーシステムや太陽熱温水器などのように熱エネルギーとして利用する方法があります。

そして、機器を用いて積極的にエネルギーを取り入れていくアクティブ利用と、建物の構造などを工夫して特別な機器なしに、自然に入射する太陽光を利用するパッシブ利用の二つの利用方法があります

アクティブ利用例
  • 太陽光発電…太陽電池を用いて、太陽光を直接的に電力に変換して発電する。
  • 太陽熱温水器…集熱器を用いて太陽光を熱に変換し、加熱した水を暖房や給湯に利用する。
  • ソーラーウォール…建物の外壁に集熱器を取り付け、暖房や換気などに利用する。
パッシブ利用例
  • ビニールハウス、温室…自然に入射する太陽光で室内を暖める。
  • 太陽炉、ソーラークッカー…太陽光を鏡などで集光し、集光点に加熱対象を置いて利用する。
  • パッシブハウス…南向きに大きな窓を取り付け、冬は取り入れた光(熱)を床に蓄熱しておく。また、夏は日差しを遮り、風を通して涼を得る。

光の利用

太陽光は、角度を利用して時刻を知る日時計や、鏡などの反射を利用して合図や伝言に使かうなど、昔から利用されて来ました。

また、太陽光を浴びて光る月や星は、航海の道しるべとなりました。

現代では、この太陽光の光を直接電力に変換する、太陽光発電での利用が急速に普及しています。

太陽光発電は、太陽電池を利用して太陽光のエネルギーを直接的に電力に変換する発電方式で、ソーラー発電とも呼ばれています。

太陽発電は半導体などの特定の物質に光を照射すると、電力が発生する現象「光起電力効果」(こうきでんりょくこうか)を利用して電気を作り出しています。

この現象は、1839年には発見されていて、1954年に太陽電池として開発されました。

簡単に説明すると、半導体に光が当たると「+」と「-」に分かれる性質を利用して、「+」を集める半導体と「-」を集める半導体を張り合わせて、太陽電池が作られています。

太陽電池には、使われる素材や構造によっていろいろな種類があります。

太陽電池が、光の持つエネルギーを、電力に変換する過程では熱・蒸気・運動エネルギーなどへの変換を必要としないので、効率よく太陽光を電力に変換できます。

メンテナンスがほぼ不要で、使う形態や規模を選ばないなどの長所を持っていて、ゴビ砂漠の半分に、現在市販されている太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られる計算になるといわれています。

しかし、太陽光がなければ発電しないため、夜間の電力を賄う場合は蓄電装置などが必要です。

熱としての利用

太陽熱は、最も古くから用いられてきた太陽エネルギーの利用形態で、エネルギーを熱に変換する事は容易であるため、太陽熱は太陽光のエネルギーを高効率に利用できる長所を持っています。また、蓄熱することでエネルギーを貯蔵しておき、必要な分だけを取り出して利用しやすいのも長所です。

この太陽熱を利用した発電方法もあります。集熱器で集めた光を熱に変換し、熱せられた空気や蒸気を用いてタービンを回して発電するものですが、大規模になるほど、また直射日光が多い地域ほど効率よく発電できるため、日射量が多く、広い設置面積が取れる乾燥地域などで用いられていますが、住宅用には向いていません。

やはり、住宅で太陽熱を利用する場合は、太陽集熱器を使ったシステムが最適です。

太陽の熱エネルギーを給湯や冷暖房に利用する太陽集熱器は、日本では石油危機後の1980年代には研究開発が盛んに実施され、使うお湯を直接温める自然循環型・強制循環型等のソーラーシステムが多く開発されました。

エネルギー変換効率が高く、新エネルギーの中でも設備費用が比較的安価で費用対効果の面でも有効で、機器の性能や耐久性等は世界的にも高水準にあります。

太陽熱利用機器は太陽光発電等と比較してエネルギー変換効率が高く、太陽の光を半導体によって電力に変える太陽光発電では、太陽エネルギーの10%程度しか利用していませんが、太陽光を熱に変える方式では40%以上のエネルギー利用が可能なのです。

最近では、さらに効率の良い、熱媒で集熱してタンクにある水を温めるタイプや、蓄熱層を設けて、熱を貯めるタイプが主流になりつつあります。

次号では、これらの太陽熱利用機器を詳しく説明します。

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