HOME > ニュース

セルフエナジーハウス研究会ニュース

最近の記事

読売新聞「屋久島 楽水舎」企画広告

エネルギーを自給自足して、快適で健康に暮らす家
ハイブリッド e ハウス

鹿児島県「木のあふれる街づくり事業」屋久島「楽水舎」の概要と目的について


セルフエナジーハウス研究会 代表理事 上野勝氏に聞く



「屋久島 楽水舎」企画広告


「屋久島 楽水舎」企画広告(PDF)


読売新聞

読売新聞「屋久島 楽水舎」企画広告2016年04月25日【31】

屋久島「楽水舎」の建築

セルフエナジーハウス研究会ではH26年度森林環境税関係事業(木のあふれる街づくり事業)屋久島「楽水舎」の建築を申請し採択され、平成27年にソーラーハウス21にて工事を進めて参りました。このたび完成し披露出来る運びになりましたのでその概要と目的について記したいと思います。

032 034
 
「楽水舎」の目的

多くの離島を抱えるわが国(特に東京以西の高温多湿の地域)においては、離島のような小規模地域でいかにエネルギーを効率的に使うか、いかに地元材を使うか、また現在の気密化の進んだ住宅をいかに多雨、多湿に適応させるか等は、非常に大きなテーマです。

038 044

今回の屋久島「楽水舎」建設の計画は、大阪の建築設計事務所・アーキアンドリフォルム代表の北田壮介氏が所有する屋久島の土地に高温・多雨・多湿な離島でのエネルギー高効率建築の建築・設計ノウハウを盛り込んで、北田氏と共にセルフエナジーハウス研究会(代表:上野勝)が共同で、平成26年度森林環境税の補助金を利用して行ったものです。

049 054

単なるデータ収集のためだけの実験棟ではなく、環境共生デザインや2020年の改正省エネ基準をしのぐ性能を取り入れ実際に居住できる環境を整え、短・中期の滞在により、実際に使用するエネルギー量を測定することや室内環境を体験できるようにしているので、是非ご利用いただきたいと思います。屋久島の雨が多く高温多湿という厳しい環境下でも常に快適で健康的な室内環境を多くの人に体験していただくことを目的の一つにしております。

067 068

さらに、地産地消という考えから、構造躯体をはじめとする建材のほとんどを屋久島産杉(屋久杉ではなく屋久島の人工林で育成された杉)及び鹿児島県産材を使い、耐候性・耐久性・経年変化などを調査することも目的のひとつです。

076 081

このプロジェクトで収集される各種ノウハウや、データは広く公開し、設計者や施工者がエネルギー高効率快適、健康住宅を建築する知識を提供するとともに、離島におけるエネルギー対策及びマイクログリッド化などへの参考となることも目指しています。

082 088
 
「楽水舎」の概要

「身近にある安全でクリーンなエネルギーを取り入れて、自分で使うエネルギーは自分で作る。」をコンセプトにした「ハイブリットeハウス」がベースになっています。「ハイブリッドeハウス」はセルフエナジーハウス研究会が監修し(株)ソーラーハウス21が施工している建物のブランドで、アクティブとパッシブの融合が語源になっています。現在でも「ハイブリッドeハウス」は全ての建物がゼロエネルギーハウスで且つ快適性と健康に気を使った世界の標準住宅と言われるものです。

100

住宅に求められる基本条件、すなわち性能ばかりではなく、機能やデザインが良いこと、そしてそのバランスが保たれている事をクリアしているのは勿論ですが、自然エネルギーを取り入れる事や無駄にしない事の他にも、風の流れや日射を考慮したデザイン、そして室内空間を快適にするレイアウトを作り上げるために最適な機材・機器類などを総合的に研究し、時間をかけてバランスよく組み立てており、少ないエネルギーでも快適に暮らせる、燃費の良い家が「ハイブリッドeハウス」です。

107

楽水舎も、その必須条件になる断熱材には吸放湿性に優れ、熱容量が大きいアップルゲートのセルロース断熱材を、計画換気には床下にも湿気を溜めず熱交換のみならず湿度の交換まで行うマーベックス社の計画換気を、熱損失の激しい窓にはLIXILの高性能樹脂サッシを使用しています。

119

屋根下地は通気を取りながらほぼ完全な熱の遮断をする対策も施されています。外壁材は杉の角材で通気を良くしたいわゆる「すのこ張り」で、その下地には非常に防水性に富み、JIS防水試験の4.7倍~10倍以上の数値を達成したドイツ製のものを使用。アップルゲートのセルロース材と同じく、高い透湿性がありますので、壁内結露を防ぐことが出来、建物の寿命をも延ばすことでしょう。

 

 
■最後に

世界自然遺産で神秘的といわれる屋久島で建築された「楽水舎」は、これから来るべき2020年改正省エネ基準をクリアするのみならず、日本の住宅づくりにおいて考えなければならない必須条件としての湿度への適応を真剣に考えた研究会としておすすめの建物です。

セルフエナジーハウス研究会
代表 上野 勝 

屋久島「楽水舎」の建築2016年04月01日【30】

再生可能エネルギー、日本の常識は世界と「真逆」

再生可能エネルギー、日本の常識は世界と「真逆」

ドイツや米国の太陽光や風力が安い理由
山根 小雪さん記事より

世界では再生可能エネルギーは「安い」というのが常識だ。一方の日本での認識は、その真逆を行く。実際のコストにも大きな乖離が存在する。なぜ、これほどまでに再エネを取り巻く状況に差があるのだろうか。

 「『なぜ日本は安価な再生可能エネルギーを活用せず、燃料費が高い火力発電ばかりを使うの?』。欧州へ行くと必ずこう聞かれます」
 国内外で再生可能エネルギーに関する制度・政策の調査を手がける、トーマツ・エンタープライズリスクサービスの水野瑛己マネジャーは苦笑する。
 この指摘の背景には、「太陽光発電の発電コストは、電力の小売料金よりも安く、風力発電の発電コストは火力発電並み」というのが欧米の常識になったことがある。
 翻って日本。東京電力・福島第1原子力発電所事故に始まる原発停止による電力不足は、そのすべてを火力発電で賄ってきた。
 火力発電は原価の約6割を天然ガスや石炭、石油といった燃料費が占める。資源に乏しい日本は火力燃料のほぼすべてを輸入に頼っている。だからこそ、日本向けの燃料価格は「ジャパンプレミアム」と呼ばれ、電力料金高騰の主要因となってきた。
 2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度をようやく導入したものの、あくまで火力発電の方が安価で、再エネは高いというのが日本の常識だ。
 実際、日本でのコスト計算によると、再エネの方が火力よりも相当、割高だ。
 政府が2011年に公表した火力の発電コストは、石炭火力で1キロワット時当たり9.5円、天然ガス火力は同10.7円。一方、固定価格買い取り制度における2014年度の買い取り価格は、太陽光発電が1キロワット時当たり32円(税別)。風力発電は同22円だ。買い取り価格は、発電コストに適正利潤を上乗せしているとはいえ、価格差は2~3倍もある。
 ところが、米国エネルギー省によると、2013年末時点の米国における太陽光発電のコスト(発電事業者と購入者の契約価格)は1キロワット時当たり平均11セント(約11円)。風力に至っては、2012年の平均でわずか同3.83セント(約3.83円)だという。


日本と世界で再エネ価格が「雲泥の差」になる理由
 日本と欧米の再エネ価格は、まさしく雲泥の差。なぜこれほどまでに、差があるのだろうか。
 ある専門家はこう指摘する。「国内の太陽電池メーカーは、価格が急激に下落することを防ぐために、談合とも言えるような値付けをしている」。適正な競争が働けば、本来下がるはずの価格にまで下がっていないという見立てだ。
 海外メーカーの安価な太陽電池は、「国内販売するために必要な認証などのハードルが高い」という声も漏れてくる。加えて、「電力網との接続工事などの料金が高止まりしていることが、コストを底上げしている」(電力業界関係者)。


コスト低減のスピードに価格見直しが追いつかない
 もう1つの理由は、制度設計に緻密さと柔軟性が足りないことだ。
 固定価格買い取り制度の買い取り価格は、太陽電池などのコスト低減効果を織り込んで見直すことになっている。ところが、現在の1年に1回の改正では、コスト低減のスピードに見直しが追いつかない。その結果、制度設計の想定以上に発電事業者の収益性が高くなるという状況が続いている。
 さらに、トーマツの水野マネジャーは、「制度設計は、数値データに基づいて精緻に行うべきなのに、あいまいな決め方をしているのが日本の問題点だ」と断じる。
 ドイツの場合、膨大なデータを基に固定価格買い取り制度を作り込んでいる。太陽電池などの設備のコスト算定はもちろんのこと、環境影響などのデータも仔細に収集して制度に反映させる。しかも、買い取り価格は毎月見直し、導入状況によって上限値を設けるなどの工夫も加えてきた。運用には苦労しつつも、試行錯誤を重ねて改善を進めている。


日本は制度設計を見直すべき時期を迎えている
 固定価格買い取り制度が、再エネの導入促進に最も効果のある政策手法であることは、先行する各国の状況を見れば明白だ。導入が進めば、コストも下がる。その結果が、「火力発電よりも再エネの方が安い」という世界の常識を生んだ。
 東日本大震災前、日本の再エネ導入比率は大規模水力を除くと1%強しかなかった。再エネに関しては、後進国と言わざるを得ない状況だった。その日本も、固定価格買い取り制度の導入によって、ようやく動き出した。
 固定価格買い取り制度による導入効果は凄まじいものがあり、2012年7月の制度開始から2014年3月までの2年弱で6864万キロワットもの設備が認定を受けた。設備利用率が異なるので一概に比較はできないが、設備の出力だけを比べれば原発60基分に相当する量だ。


制度施行から3年を経て、競争促進策が必要に
 制度の施行から3年間は「加速度期間」と銘打って、買い取り価格などの条件にはプレミアムをつけてきた。長らく微動だにしなかった日本市場を動かすためには、カンフル剤が必要だったと考えれば、これまでの制度設計が間違いだったとは思わない。
 ただ、今年で制度開始から3年目を迎える。見回してみれば、発電コストでは風力などに劣る太陽光発電ばかりが大量に導入されている。日本にもコストを引き下げるための精緻な制度設計と、競争を促すための刺激が必要な時期が来たと感じる。
 ドイツは8月1日、制度改正を実施する。今回の改正では、買い取り価格の引き下げや過剰になっていた補助の廃止、コスト負担方法の見直しなどを行う。最も大きな変化は、再エネへの競争導入だろう。
 再エネのコストは、かつてと比べて大幅に低減し、補助政策なしでもほかの電源と戦えるところまで育ってきたという認識なのだろう。当面、買い取り価格の設定は続けるものの、再エネによる電力の売買については、発電事業者が自ら売り先を探し、取引することが義務付けられる。これまでは発電すれば自動的に買い取ってもらえたことと比べると、大きな変化だ。
 「今回の制度改正には、そろそろ再エネを独り立ちさせようというドイツ政府の狙いが明確に示されている」とトーマツの水野マネジャーは分析する。競争の導入は、電力会社をはじめとするプレーヤーへの刺激になり、ひいては電気料金の引き下げといった形で消費者へ恩恵を与える。


再エネ導入には国家の意思が必要だ
 ドイツの再エネ導入目標は壮大だ。2025年までには再エネを40~45%、2035年には55~60%に引き上げる。電気料金の上昇や電力網への対策の必要性が叫ばれるなど、課題はある。それでも、導入促進策の手綱はまったくと言っていいほどゆるめていない。
 再エネの導入に伴うコスト負担方法にも、ドイツ政府の意思が見える。エネルギー多消費型企業への負担は大幅に減免し、国民が負担しているのだ。その結果、ドイツ経済は成長し、国内の雇用は維持される。
 ドイツでは、原子力発電は発電コストが高いという認識が、広く浸透している。加えて、ロシアの天然ガスへの依存度を低下させたいという思いがあり、行き着いた答えが再エネだったというわけだ。
 エネルギー安全保障と経済政策を両立させるドイツを見ていると、再エネ導入には国家としての意思が必要なのだと考えさせられる。
 日本も固定価格買い取り制度を始めとする制度をうまく運用することができれば、資源不足を補い、電気料金を引き下げ、電力市場に競争を起こすことができる。不可能とも思える方程式を解くことすらできる可能性を秘めている。
 「米国の電力会社は、電力自由化よりも、再エネを中心とした分散型電源の導入にビジネスモデルの変更を迫られたと言っている。日本でも、再エネ導入の推進が電力市場に適正な競争を引き起こす可能性は十分にある」とエネルギー戦略研究所の山家公雄所長は指摘する。
 再エネ推進は諸刃の刃だ。今の日本のやり方を踏襲するだけでは、電気料金の高騰を後押しするだけかもしれない。再エネ導入の真価を発揮させるためには、日本はまだ努力が足りない。

再生可能エネルギー、日本の常識は世界と「真逆」2014年09月17日【23】

第2回 ドイツ視察ツアー 報告レポート

第2回 ドイツ視察ツアー 報告レポートを掲載しました。

こちらからどうぞ 「第2回 ドイツ視察ツアー 報告レポート」

第2回 ドイツ視察ツアー 報告レポート2014年06月16日【21】

「パッシブハウス」が市場に浸透:ドイツに見る省エネ住宅マーケティング

以下の記事は新建ハウジング2014年5月10日号に掲載された内容をそのまま転写したものです。私たちセルフエナジーハウス研究会が前回の訪独視察団で視察した時の内容の一部をもっと詳しくお伝えできる内容になっています。

4月21日~28日まで開催された「ドイツパッシブハウス世界大会視察研修」(事務局:東農地域木材流通センター)に同行内容を連載で報告する。初回は、日本でも注目されている超高断熱住宅「パッシブハウス」について。既に母国・ドイツでは標準的になり始めている。大手、地場工務店ともことさら高いレベルという意識ではなく、省エネ性能はむしろ前提条件に。競争は素材へのこだわりやスマートハウスとの融合など、プラスαの強みに移っている。

展示場パンフで容易に性能比較、プラスエナジーハウス提案も急増

ドイツの新築住宅では、省エネ性能は一定のゴールに達しているようだ。住宅販売の現場では次の段階の競争へと移行しつつある。ドイツの国内で広く事業展開している住宅展示場「FertighausWelt」のケルン店(所在地はケルン近郊のフレッヘン)には24の住宅会社が出展。ヨーロッパ最大級の住宅会社から50棟規模の工務店まで、いろいろなタイプのモデルハウスを見ることができる。日本の住宅展示場と異なるのは、住宅の省エネ性能に関する情報の取り扱いだ。展示場の入り口で渡されるパンフレットには特別に枠
が設けてあり、省エネ性能を項目ごとに比較できるようになっている。どのような基準を満たしているのか、外壁の断熱性能(U値)、暖房方式などが統一のフォーマットで記載されている。その資料によると、モデルハウスという前提はあるが、24社中19社の住宅の外壁熱貫流率U値がパッシブハウス基準の0.15W/㎡K以下。一番高性能な住宅は0.09W/㎡Kで、クリアしていない3つの住宅も0.2W㎡K未満(2社は詳細表記なし)とかなりハイレベルとなっている。半分以上の住宅がKfW(ドイツの政府系金融機関)の有利な融資を受けられる基準を満たし、うち5社はもっとも高い区分を満たしている。また3分の1以上が、エネルギー収支がプラスになる「プラスエナジーハウス」となっている。もはや省エネ性能だけでは、新築市場において大きなアドバンテージにならないのが現状だ。

求められるプラスαの強み 法律により先に市場が動

太陽光は自家消費へ
「FertighausWelt」ケルン店の出展会社のひとつKAMPA社は、パッシブハウス相当の性能を標準として展開。これに加え、昨年から蓄電池の提供を始めた。さらに今年5月からは、この蓄電池をソーラーパネルとあわせて標準仕様としていくという。背景には、ドイツエネルギー政策の変化がある。ここ数年で太陽光発電に対する支援策が大きく変わり、電気の売却価格が買い入れ価格よりも安く設定されている。発電した電力の一定割合を自家消費すると売却価格が高くなるという仕組みとの相乗効果もあって、発電した電力の自家消費を増やす方向へと転換が図られている。KAMPA社はその政策の流れの乗り、蓄電池に発電した電力を貯めて光熱費を抑えることを強みとしてうたっている。

デザインや素材強調  
これに対しヨーロッパ最大級の住宅会社であるELK社は、イニシャルコストメリットを強調する。同社もKAMPA社と同等のパッシブハウス級のモデルハウスを展示。ブラインドの自動開閉システムなど先進的な仕掛けも取り入れ、販売価格は㎡あたり1500ユーロ以下という。KAMPA社の住宅の価格が㎡あたり1700~2200ユーロなので、それよりも1割以上安い。現在、同社で一番人気があるのはキューブ型デザインのパッシブハウスレベルの住宅だが、購入者は「モダンなデザインで選んでいる」(展示場営業担当)という。ドイツでは省エネ基準の引き上げが進むとともに、省エネ性能による競争は一定の節目を迎えた間がある。木質感を強みとするStommel Haus社のモデルハウスは外壁平均U値0.19W/㎡Kと断熱性能はほかより高くないものの、断熱材に木質繊維を使うなど素材にこだわったつくり込みを徹底。暖房機器のも薪ストーブを取り入れるなど、一貫したマーケティングを行っている。

関心は非住宅、改修へ
ドイツのアーヘンで現地時間の4月25・26日に開かれたパッシブハウス世界大会では、非住宅分野へのパッシブハウス基準の展開に力を入れるべきという意見や、既存建物の改修を促進するべきという報告が中心的な話題となった。住宅の新築については、技術的に一定の達成感があるという印象だ。パッシブハウス研究所のブォルフガング・ファイスト博士は、「市場のスピードが法律のスピードを越えた」と指摘。パッシブハウス研究所が示した目標を目指して建材メーカーが製品の性能を飛躍的の高めた結果、高性能建材の低廉化が進み、それが省エネ化を推し進めているという。日本では省エネ基準の義務化に向けた論議がようやく本格化したところだが、こうした世界的な潮流のなか、日本でも法律制より早く市場が動く可能性がありそうだ。

「パッシブハウス」が市場に浸透:ドイツに見る省エネ住宅マーケティング2014年06月13日【20】

1  |  2  |  3  |  4    »    

- 管理用 -

このページの先頭に戻る▲