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エネルギーを大切にする暮らし

◆第1章 エネルギーに対して何処まで真剣に考えるのか?



日本ほど、インフラが整備された国は世界でも類を見ない。

電気の普及率はほぼ100%、どんな山の中でも電化製品は何の不安も無く使える。ほんの十数年前までランプを灯し、薪や炭で炊事をしていた地域があった事などはるか昔の事のように思える。それだけ、日本人の暮らしは豊かになり、それが当たり前になっている。環境サミットの開催国だからと、省エネルギーやCo2削減を唱えてはいるが、掛け声ばかりで電気の使用量は年々増え続けている。

今度の震災では、安全なはずの発電所が壊れ、燃料が手にはいらすパニック状態になり、節電で街の明かりが消え、いやおうなしに生活のスタイルを変えなければならなくなった。今まで、何の不安もなく当たり前にあると思っていたエネルギーを失う事は、日々の生活がいかに不自由になるか、その影響がいかに大きいかを思い知らされたのである。

震災以後のエネルギーに対する考え方は大きく変わり、電力会社などのインフラに依存せずにエネルギーを自給自足する生活が、これからの住宅やライフスタイルのトレンドになっていくと言われ出した。確かに、年明けのテレビコマーシャルは太陽光発電や蓄電地を装備して『エネルギーを自給する家』と言うのが、ほとんどの住宅会社や家電店のキャッチフレーズとなっている。

はたして、太陽光発電や蓄電池を装備するだけで、本当にエネルギーを自給する生活が出来るのだろうか?太陽光発電で電気を作れば売電でどれだけの電気代を浮かせられるかとか、蓄電池は深夜電力の安い電力で充電すれば、採算が合うとか、経済性や効率の事が大きく取り上げられる様では、ほんとにエネルギーの事を真剣に考えているとは思えないし、ましてや自給自足するとはほど遠いように思う。

そういう事を必死に調べる為に夜遅くまでパソコンと明かりを付け、省エネ家電に買え替えても、相変わらず電気製品に囲まれ、当然のように蛇口を捻ってふんだんにお湯を使っている。


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◆第2章 世界には約16億人の人達が無電力地帯に暮らしている



電気や燃料を自由に使える暮らしが実現できる事を夢見る人達は、この地球上に16億人もいると言う。彼らが求める電力は、一日にわずか100Wで良いのだ。

電気が使えれば、明るい電球の下で子供達は勉強ができ、大人は小さなラジオでニュースを聞き音楽を楽しめる。病院や診療所は、夜間でも救急患者を受け入れられ、商店や食堂も営業時間が増えれば人が集まり、お金が動き雇用が生まれる。茅葺の屋根に小さな太陽光発電機を載せ、バッテリーに蓄電して夜間に明かりを灯し、携帯電話を充電し、TVを見ることもできる。

電気を使い切ったら寝れば良いし、日が昇れば充電できるようになるので、一日充電して夜になったら使う。この程度でも、彼らにとっては夢のような生活である。

高価な太陽光発電は誰にでも買えるわけではない、取り付けられる家はまだ良い方である。彼らにとってエネルギーの自給自足は死活問題であり、国や行政に依存する事無く何とか自分達でエネルギーを作り出し、自分たちの暮らしを向上させたいと思っているのである。

これは、けっしてアフリカや東南アジアのような開発途上国の話ではなく、イギリスやアメリカのような先進国にも存在する。効率の悪い発電機では燃料も高く満足に電気を使えない、そこで電力を確保するより良い方法がないかと様々な工夫をしている。

孤島であろうと人里離れた山村であろうと、電気製品に依存した暮らしを享受している日本人には信じがたいかも知れないが、これは事実である。


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◆第3章 村や町単位でエネルギーを自給自足するという動き



エネルギーを自給自足する為の社会実験に取り組み、世界でいち早く達成したデンマークの“サムソー島”をはじめ、村や町村単位でエネルギーを自給自足する動きが世界中で活発化している。

Eiggというスコットランドの小さな島では、高い軽油を使ったうるさいディーゼルエンジンや小さな水力発電で少しばかりの電気しか使えない不自由な生活から、風力・水力等の再生可能エネルギーを総合的に取り入れて発電し、各家庭の使用電力を集中コントロールするシステムを取り入れ、24時間電気を使えるようになったのは2008年の事である。

今では、電力のほぼ100%を自給自足しているが、各家庭で1日に使える電気量はわずか5kw、それを超えると自動的に電気は切れる。

それでもライフスタイルは大きく向上したと島の人達は実感している。子供から大人まで家で使う電気量に注意を払い、不必要な電気は使わないように気を付ける。電気製品は電力消費量を見比べて選ぶようになり、家の断熱性能を高めてエネルギーのロスをなくす。自動車は極力相乗りをするなど、暮らし方を根本から考えるようになった。

『単に設備を整えただけではエネルギーの自立化は実現できない。一人一人の住民の意識が大きく変わったことが自給自足を実現し、生活の質を高める事につながっている。』と島の人達は言う。“サムソー島”でも、実験を始める前に島民の理解を得るため3年の月日を費やし、さらに10年をかけて自給率150%という、現在の状況を作ったという。

インドでは、籾殻から作られる燃料を使う発電機を電気の無い地方の村に設置し、その発電所で働く人達の雇用を生み、各家庭や商店で電気を使えるようになり、村を活性化して生活を改善させている会社が注目されている。

日本にも、需要を上る量の再生可能エネルギーを生み出している市町村が数十あるという。そのうちの半分近くの市町村では、食糧自給率でも100%を超える。これらの市町村は、住み続けるために必要なエネルギーと食糧を地域で生み出すことができる、つまり自給自足の出来る地域という事である。

震災以後、エネルギーの自立を目指そうとする市町村の話を多く聞くようになった、この傾向はますます進んでいくだろう。


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◆第4章 エネルギー自給自足の実現は、個々の生活観、コミュニティのあり方で達成できる



今、個々の住宅や施設のエネルギー利用を細かく管理し、効率よく分配・融通して使うコミュニティやシステムとして、『スマートグリット』や『スマートシティ』が話題になっている。

日本の得意分野として電気メーカーやIT企業が開発を進めているが、実現化には問題も多く、どうも理論や概念が一人歩きしている感が否めない。今後のエネルギーをどう扱うべきかを真剣に考えなければならない時期に来ているのは確かである。

だからと言って、放射能汚染に神経を尖らせ、声高に原発の廃絶を唱え、家庭では太陽光発電の発電効率と売電でどれだけ電気代を浮かせたかと一喜一憂し、あわてて省エネ家電に買え替えてごみの山を作り、災害時対策だとこぞって蓄電池や発電機を買いそろえる。これでエネルギーの自立化を図っていると安心して良いのであろうか?

日々の暮らしの中でのエネルギーをどう考えるのか?
電力や化石燃料に依存しすぎない生活が出来るのか?
その為にはどのようなライフスタイルが良いのか?
再生可能エネルギーで暮らす事は可能か?
まず始めにこれらの事を、自身で、そして家族と共に考える事が大切ではないだろうか。


エネルギー自給自足を実現させるには、単に設備や機器を充実させることだけではなく、一人一人の生活観やライフスタイルを、エネルギー自立に合わせたスタイルにする事であり、その事を、家族や地域の人々と共に考え、行動する事に他ならない。

そうする事で、初めてエネルギーを大切にする暮らしが実現でき、持続可能な社会が創られていくのである。エネルギーの自立化は、決して個人だけで出来る話では無いのだ。

エネルギーを大切にする暮らし2012年04月25日【2】

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