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デンマーク サムソ島再生可能エネルギー100%で自給自足の島

(社)セルフエナジーハウス研究会で推し進める「自給自足」をなし遂げている「島」がデンマークにあります。ドイツでも「村」でやっているところ(ヒューンデ村)が有り私達はドイツへのエコツアーで訪問し勉強してきました。デンマークのサムソ島の事も早く記事にしたいと思っていましたが、この記事がSMA×ECO誌に載せられていましたので、又伝えたいことが同じでしたのでそのまま転載させていただきます。

(社)セルフエナジーハウス研究会 上野 勝

この記事は「SMA×ECO」(2012年12月6日発行号)に掲載されたものです。取材協力 デンマーク大使館 中島健祐さん 

デンマーク サムソ島再生可能エネルギー100%で自給自足の島



1998年からの10年間で、島で使用するすべてのエネルギーを再生可能エネルギー(※)に転換させることに成功したデンマークのサムソ島。美しい自然と風車が調和するこの島の人々が力を注いできた取り組みの歴史と今を見ていきましょう。
※太陽光や太陽熱、風力、水力、バイオマスなど、自然の力によって繰り返し使うことができるエネルギー。


再生可能エネルギーを自給自足

 豊かな自然と農地が広がり、夏にはキャンプや避暑に多くの人が訪れるデンマークの観光地、サムソ島。のどかな島が「再生可能エネルギー100%の島」となるきっかけは、1996年に政府が策定した「エネルギー21」という計画でした。計画には2030年までに国内のエネルギー消費量の35%を、電力では50%を再生可能エネルギーにするなどの画期的な目標が盛り込まれていました。

 この目標を具体化するための実証実験として、政府は「再生可能エネルギー100%を目指す島」のコンペを開催し、全国にアイデアを募りました。これに5つの島が応募し、その中から選ばれたのがサムソ島だったのです。

 応募するにあたって、島に住む人々が自ら計画を練り、100%再生可能エネルギーの島になることを選んだのがすごいところ。行政の主導ではなく、住民たちによって計画は進められたのです。プロジェクトの中心人物ソーレン・ハーマンセンさんは、島の中学校で環境学を教えていた教師でした。

 島民には反対意見も多くありました。アイデアには賛同するも、大きな音を発することなどから、自分の土地には風力発電の風車を建てたくないという声もありました。しかし、ソーレンさんたちはあきらめず、2年かけて島民一人ひとりと対話を重ね、プロジェクトへの参加を促し、島の人々にとって最良のエネルギーのあり方を求めていったのです。

 サムソ島のプロジェクトには、対話を重んじるデンマークの国民性が活かされています。それは小さなときから育まれる習慣ともいえるものです。小学校でも、子どもたちの間で意見が対立すると、自主的に集まって話し合い、違いを認めながらお互いに理解し合うことを促す教育が行われています。


住宅の屋根に設置された太陽光パネル。太陽光による発電用と、太陽熱による温水用の両方が利用される。写真提供:[左]©アマナイメージズ [右]Samso Energy Academy


島内では、石油を使った暖房を、ヒートポンプや木材ペレットのストーブ、あるいは暖炉に切り替える家庭が増えた。写真提供:Samso Energy Academy




小さな島の暮らしが世界のお手本に

 サムソ島では、国などの補助だけに頼らず、「自分たちでお金を出して、風車を建てる」ことにこだわりました。自分たちで建てた風車が、自分の生活を支えていると分かれば、誰も風車を邪魔には思わないと考えたからです。実際、島の風車は個人が所有したり、複数の農家の出資で運営される協同組合が所有したりしているのです。

 取り組みを始めてから10年、サムソ島は目標どおり「100%再生可能エネルギーの島」となりました。現在、島には15基の陸上風車と10基の洋上風車があり、電力を自給自足しています。


[左] 発電用風車と島の子どもたち。写真提供:Samso Energy Academy [右] サムソ島の取り組みを伝える絵本。日本でも発行されている。『風の島へようこそ(福音館書店)』アラン・ドラモンド 作 まつむらゆりこ 訳

 島民の生活に必要な電力需要は陸上風車だけですべてまかなっており、余剰電力を電力会社に販売するほどです。洋上風車は年間約50万人の旅行客が使う電力をまかない、さらに車や本土と島を結ぶフェリーが使用する化石燃料の使用によって排出されるCO2を相殺するだけの電力もまかなっています。

 また、冬の長いサムソ島では暖房のためのエネルギー消費も膨大ですが、熱エネルギーの約70%を再生可能エネルギーでまかなっています。島には麦わらを使ったバイオマス燃料プラントが3カ所、太陽熱と木質チップの燃料プラントが1カ所あり、地域の暖房や給湯などの熱を供給しています。


写真の太陽熱パネルと、木質チップのボイラーを組み合わせた地域熱供給プラントもある。写真提供:Samso Energy Academy


[左] バイオマス燃料にする麦わら。 [右] 地域熱供給プラント内の設備。写真提供:Samso Energy Academy

 こうしてサムソ島は大きく変わりました。再生可能エネルギーが島の新しい主役となり、雇用も生み出しています。観光客も増え、街をうるおしています。もともと中世の古い風車や農家が保存されたエコミュージアムの島として人気がありましたが、「再生可能エネルギーの島」へと変貌をとげてからは、視察や体験学習の目的地としても大きく注目されるようになったのです。

 住民の意識も高まってきました。サムソ島では、一人ひとりの行動が大きな目標を実現させ、世界をリードする立場になったのですから。「Think Global,Act Local」──北欧の小さな島に暮らしていても、世界的な視点でものを考え、地元で自分がどう行動するかが重要になるという考えが人々に行き渡っています。こうした大人たちの考え方は、未来をになう子どもたちにも受け継がれていきます。


ガラス窓と屋根に太陽光パネルが敷き詰められたサムソエネルギー環境事務所(写真左)では、環境教育の一環として子どもたちにソーラーカーや太陽熱を利用した調理などを体験してもらっている。写真提供:Samso Energy Academy


★私たち(社)セルフエナジーハウス研究会も微力ながらこのような小さな単位(地域、町、島)での自給自足の家、公共施設、地域の提案を続けいつしか日本でも少しずつ定着していくことを望みます。
(社)セルフエナジーハウス研究会 代表 上野 勝

デンマーク サムソ島再生可能エネルギー100%で自給自足の島2014年10月14日【20】

自国の中に豊富な再生可能エネルギーをもつ日本!

今日本の再生可能エネルギー利用には過度の期待をすることはできない。
原子力発電のようにすぐに大きな発電を期待できるものではないということは事実だから。

ではその穴を埋めていくのに再び火力発電に頼っていくのか?
今世紀のどこかで枯渇するといわれる化石燃料を再び求めてそれに投資し、いずれそれが手に入りにくい状況が起きた時に又改めて再生可能エネルギーに力を入れていくのか?
いま日本は原発事故以来新たなエネルギー獲得に向け模索が始まったが、残念なことに、一時的になるのかもしれないが又原発に頼るという政治判断だ。

エネルギー問題に関しては待ったなしで方向性を定め、いつまでにどうするという計画を国民にしっかり示すのが政治のはずだ。

少なくとも国民の命にかかわる大きなリスクあるものに対し、命と経済性を天秤にかけて考える今の政治はおかしいし納得できない。

日本は自国にある資源ポテンシャルに本気に早急に向かい合う必要がある。
変化に富んだ日本の自然環境は様々な再生可能エネルギーの創出を可能にする。
それは即ち、日本の今後の経済成長にも大きく寄与することに間違いない。

以上は今回の訪独で再び感じたことだ。

上野 勝

自国の中に豊富な再生可能エネルギーをもつ日本! 2012年07月01日【19】

デンマークのパッシブハウス展示場



◆第1章 究極の省エネ基準であるドイツのパッシブハウス

ドイツでは、省エネルギー政策として進めてきた住宅のゼロエネルギー化への挑戦が、今日の厳しい省エネルギー住宅の基準作りに繋がったと言われている。現在の「低エネルギーハウス基準」では、戸建住宅の暖房に伴う年間エネルギー消費量を70(kWh/m2・年)以下にすることが義務化されている。

つまり、壁の厚さや窓ガラスの数を規制しているわけではなく、年間の暖房用エネルギーの消費量を一定に抑えた家にしなければならないという、車で言えばリッター何キロ走る車でなければ販売してはいけないという法律なのである。

「パッシブハウス」は、その基準値をはるかに上回る、『暖房に伴う年間エネルギー消費量が15(kWh/m2・年)以下の住宅』と定義されている。これは、実質的にはほぼ暖房設備を必要としないレベルで、理想的な建物像を追求する「パッシブハウス」の動向は、将来の省エネルギー基準を牽引する羅針盤として注目される。冬の長い、ドイツではエネルギーの半分以上を暖房費に費やすのだから、このように考えるのは当然かもしれない。


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◆第2章 11人の建築家によるパッシブハウス



ドイツより北に位置し、エネルギー源の半分以上を自然エネルギーで賄う、デンマークであっても同じように暖房に使うエネルギーをどう抑えるかは重要なテーマだ。自前の自然エネルギーだからと言っても、無尽蔵に使えるわけではなくむしろ自前だからこそ、大切に使う事を考えるのだ。

研究会が発行した初期の雑誌『Palaazo』の創刊号で紹介した、デンマーク第一号の「パッシブハウス」認定を取ったオラフ(Olav)氏が案内してくれた、『11人の建築家によるパッシブハウス』というテーマで作られた展示場が今回の取材先である。

運転手役のMr.ハンセンとオラフ氏が運転席で右だ、やれ左だと迷いながらたどり着いたので、残念ながら正確な場所は判らない。車は郊外の住宅地に迷い込んでように感じたが、突然の今まで走っていた住宅地の建物とは違う、様々なスタイルの住宅が並んでいる一角が現れた。

ガラス張りの回廊がある白い家、板張りのユニークなスタイルの家、2階建てや平屋など、広い道路の両面に11棟の建物が並んでいる。そのうちの1棟は未完成である。

管理等のような建物は無く、自由に見る事が出来るようになっているが、殆どは無人で、家具も置かれていない。ドイツの展示場のように、住宅会社が出展している営業用の展示場ではなく、それぞれの建築家が提案する「パッシブハウス」のスタイルであり、いわば作品である。

オラフ氏は、それぞれの建築家が様々なアイデアで「パッシブハウス」のコンセプトを表現しているので、建築家にとっては非常に興味深いという。当然だか、どの家も規定の基準をクリアーしている。日射の角度や風向き重要視する設計が基本の「パッシブハウス」では、どうしてもデザインが似てくるが、そこが建築家の腕の見せ所となる。


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◆第3章 巨大なガラリ戸の黒い家とレトロなテレビのような家


建物の左にある衝立のよう所に、扉が収納してある。

どの家も、特徴のあるデザインをしているが、日よけ用に巨大なガラリ戸を持つ黒い家は、日本的な雰囲気を漂わせている。外壁は黒く塗った木をルーバーのようにして縦に貼ってある。


角度の変わるガラリが付いた扉は、上のレールに吊られて、移動できるようになっている。

南側の窓には、角度が変わるガラリが付いた扉がスライドして、日射をコントロールするようになっている。吹き抜けのある面は、建物と同じ高さの同じようながらり戸が、建物の脇に収納されている。内部は、殆ど仕上げていない感じで、この家のポイントはあくまでも外観なのだろうか?


隣にある家は、外壁には木が貼られていて、くの字に曲がった形をしている。2階の南側は、深い軒を持つベランダが、1階より張り出している。夏の高い日差しは遮り、冬の低い日差しは取り込めるようになっている。



しかし、その形はレトロなデザインのテレビのようだ。窓には、外側に電動のブラインドが着けられて、日射をコントロールできるようになっている。

この家も家具は無いが、室内は綺麗に仕上げられている。壁は規則正しく配置された小さな穴が開いたパネルが貼られ、コーナーにはパネルのヒーターが着けられている。2階のキッチンには、各部屋の温度と湿度、電気の使用量が一目できるモニターが付いて、室内環境や電源、給湯などすべてをコントロールできる。

窓の外に着いたブラインドで日射をコントロールする。

シンプルな階段と小さな穴が開いた壁パネル。このパネルの穴は何か目的があるのか?

部屋の環境や使用電力をチェック出来るモニター。


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◆第4章 一際目を引く白い家



中でも際立てて目を引くのが、大きな白い家だ。南に面する正面は、一見ショールームのように見える。

玄関に続く側面には横長の窓、横から見ると斜めの屋根が交差して不思議なシルエットをしている。玄関をあけて中に入ると、正面に階段があり明るい2階が見える。

建物の中心部は、ガラス張りの温室のようになっていて、すべての部屋を見渡せるようになっている。モダンなオフィスビルのようである。



光と太陽熱の取り入れ方をかなり考えた、斬新な設計である。室内を明るくする為か、すべてが白になっている。キッチンの形も(サブキッチンまである)、洗面所も何から何まで真っ白。これならば、冬の薄暗い日中でも明かりはいらないだろう。

ガレージには、熱交換換気システム用の吸気管が立っていて、地中を通って建物の中にある本体に空気を送っている。これだけ大きい家だと、今までの感覚で光熱費が膨大だと思うが、ごく少量のエネルギーで冬も夏も快適に暮らせるという。


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◆第5章 私達は何を学ぶか

この展示場は、毎日多くの人が見学に訪れるらしく、当日もバスを仕立てて見学に来ていた人達は係りの説明を熱心に聞いていた。

オラフ氏は、もちろん質問には答えてくれたが、余計な説明をしなかった。彼は、この展示場にはいろいろなアイデアがあり、良いヒントを与えてくれると言っていた。

基本的な考え方、そして技術を理解し、それを形に表すのが建築家の仕事だと言う。

日本でも「パッシブハウス」が話題になって久しいが、どうも日本の住宅業界では、建物の熱損失を数字で表したQ値を競っている感がある。

確かに、厳しい数値なので建築家や技術者としては目標にしたいのだろうが、その数値を出すために壁の厚さを何十センチにしたとか、窓を3層や4層にするとか、まるでタイムを競い合っているアスリート達のように感じるのは、私だけだろうか?

そんな話を聞くたびに、私はオラフ氏の言葉を思い出す。

デンマークのパッシブハウス展示場2012年05月11日【14】

なぜ、エネルギー自立住宅が必要なのか?

第1章 大きな差がある意識と行動



私達は、家庭で毎日沢山のエネルギー資源を消費しています。スイッチを入れればいつでも明かりがつき、テレビや映画を家で楽しむ事が出来、エアコンは常に部屋の温度を一定にしてくれて、熱帯夜でも、吹雪の夜でも快適に睡眠する事ができます。蛇口をひねれば、すぐにお湯が使え、お風呂にはいつでも入れます。

電気やガスの調理機器は、おいしい料理を手早く簡単に作る手助けをしてくれます。電気・ガス・水などのいわゆる生活インフラは、世界でも最高の水準で整備され、ある事が当然になり、なんの不安もない生活を送って来ました。

しかし、この生活を維持する為に、水力や火力、原子力で多量の電気を作り、石油を消費して、大気・水質汚染を生み、環境汚染の深刻さや地球の温暖化が問題視されてきました。これは、日本に限った事ではなく、すべての国に共通した問題です。

ドイツやデンマークなどの環境先進国と言われる国では、市民レベルの環境保護運動の動きが起き上がり、環境保護全体にかかわる法規制の強化をいち早く打ち出しました。日本では陸続きではないという地理的状況から、“グローバルに考え、地域的に対応する”という考え方が欧州のようには定着せず、長期的な視野で環境保護を捕らえて来ませんでした。

しかし、2度のオイルショックとバブル崩壊後の長引く不況は、日本人の環境意識を高め、生活の価値観を変えました。市民の環境意識に関するある研究によれば、高度成長期の1971年には「環境問題を深刻に受け止めていない」人が50.8%もいましたが、1998年には「地球温暖化防止のために何らかの取り組みをしたい」と答えた人は74.1%に達し、さらに「高くてもエコ製品を購入する」と答えた人は1991年よりも増えているという結果が現れました。

この研究では、日本人とドイツ人の環境意識とその望む行動の比較をしていますが、両者の間には大きな差は無いようだが、実際の行動という視点では大きな開きが見られるとの結果が示されています。特に日本の若年層の環境危機意識は、環境汚染の情報源がセンセーショナルな報道に傾倒しがちなテレビや新聞に集中しているために77%と極めて高いのですが、行政が実行すべきだとしてすべてを任せ何も行動していないのが現状だと指摘されています。



これは、環境危機意識は汚染が物理的に遠くになればなるほど、また時間の経過と共に低下する傾向があり、熱しやすくさめやすい、そしていやなことは早めに忘れて次の明るい未来を考える日本人の性格に由来していると締めくくられています。それに対して、環境危機意識が40%と低くても、ドイツの若年層の50%以上は積極的な行動をしていているとされています。

日本は、世界最高水準の環境技術を誇る国と自負し、京都議定書を採択した国際会議の議長国であり、温室効果ガス25%削減目標を明言して世界から絶賛されました。しかし、太陽光発電やエコ給湯などの普及促進政策も経済波及効果を優先する要素が強く、抜本的な対策とは言えず、その後もCO2排出量は年々増加し続け家庭部門の排出量は世界平均の倍とも言われています。

CO2の排出量は、= エネルギー消費量なので、省エネどころか増加の一途を歩んでいるのです。ドイツでは、建物自体のエネルギー性能を厳しい基準にする法制化など様々な政策を導入し、京都議定書で提示された目標を2008年には達成しています。


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第2章 枯渇するエネルギー資源



私達は、このような状況の下エネルギーや省エネに対する考え方を根底から覆すような出来事に遭遇しました。私達は、万が一の災害等でも、国や行政、供給会社が責任を持って生活に必要なエネルギーを供給する事を守ってくれると信じていました。

先の環境意識の時に触れたように“意識は極めて高い反面、行政が実行すべきだとしてすべてを任せ何も行動していないのが現状”だったのです。しかし、実際はそうは行きませんでした。

堅牢で安全だと言われた原発が被災して発電する事が出来なくなっただけではなく、今なお放射能汚染の脅威にさらされています。被災地以外でもガソリンや灯油を買うのに長蛇の列ができ、節電を余儀なくされ街の明かりが消えました。

想定外という言葉で多くの問題点は片付けられていますが、災害はいつ、何処で、どの様に、そして、どれだけの被害に襲われるのか想定する事自体が不可能なのです。日々の生活に当然のように使っていたエネルギー資源が、ある日突然失われたらどうなるのか、その大切さを改めて知らされました。

私達が今まで、簡単で便利だと使い続けてきた石炭や石油、天然ガスなどのエネルギーのほとんどは、作り出される時間よりも使う時間が早く、そのまま使い続ければ枯渇してしまうエネルギーです。Co2を出さない、クリーンなエネルギーだと言われた原子力発電の事故で放出された放射能汚染は、想像を超える以上に深刻です。

世界では、戦争の再来を伺わせるような原油や天然ガスなどのエネルギー源の壮烈な取り合いが始まっています。これらのエネルギーに依存している私達の生活は、ますます不自由になっていくでしょう。

いずれ枯渇すると言われるエネルギーに代わる新たなエネルギー源として期待されているのが自然エネルギーです。自然エネルギーは従来のエネルギーとは違い、作る場所と使う場所が近い事が最も効率の良い使い方であるという性格を持っています。

また、大規模な施設や機器を必要としないので、一般の住宅にも設置が可能です。太陽光発電などの発電機器に関しては高度に技術開発が進んだ現在では、個々の家庭で使うには十分過ぎるほどの発電量があり、近隣と融通しあう地域密着型が最も効率的であるとも言われています。

地域の人達と共同で設置して活用すれば、地域との関わりが深くなり結果としてコミュニティが活性化します。
すでに世界のあちらこちらで取り入れられ、多くの成功事例が生まれています。


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第3章 エネルギー自立を目指すライフスタイル



この震災で多くの人達は、『自分や家族の命や暮らしは、自分達で守るようにしなければならない』という事を感じています。そして、「家庭菜園などで農薬を使わない安心できる食材を自分達で作るように、エネルギーも自分達で作れないのか? 」「電気やガス・水道などのインフラにまったく頼らずに、エネルギーを完全に自給自足する住宅を建てられるのか? 」そう考える人もいます。

果たして、可能なのでしょうか?

もちろん不可能ではありませんが、食料の自給自足を行う事と同じように、考え方やライフスタイルから変えなければなりません。

しかし、すべてのエネルギーを自分たちの手で作り出す事は現実的ではありません。実際は、『自分達でできる事は、極力自分達でやる』という事なのです。今後は日々使うエネルギーも出来る限り自分達で作り出して、大切に使うという考え方の人も増えていくでしょう。

私達は、快適や便利さを求めるあまり、化石燃料や原子力に依存すぎていた暮らしをして来ました。これからは、その生活スタイルを見直して、「身近にある安全でクリーンなエネルギーを取り入れて、自分で使うエネルギーは自分で作る暮らしを目指していく。」事が必要です。

自身が必要なエネルギー量を把握し、身の回りにあるエネルギーを工夫して取り入れ、エネルギーを無駄の無いように使う暮らし方をしなければなりません。その為には、生活の中心となる『家』を、『エネルギーを自給自足して、快適で健康に暮せる家』にする事が必要なのです。

このような家で暮らすことは、家族一人一人のエネルギーに対する意識を高め、将来を担う子供達にエネルギーの大切さや使い方を教える事だけではなく、結果として環境破壊や温暖化を防ぎ、子孫に美しい地球と自然環境を受け継いで行く事でもあります。


なぜ、エネルギー自立住宅が必要なのか?2012年05月10日【11】

ドイツ国内に4箇所の住宅展示場を持つバウセンター

◆第1章 最大の規模を誇るミュンヘンの展示場。

(写真)カフェやセミナールーム、資料ライブラリーを備えたバウセンターの管理棟

ミュンヘンの中心部から、延々と続く雑木林を抜けて、こじんまりとした住宅街をいくつか通り過ぎてくいと、ドイツで最大規模といわれる住宅展示場が現れる。

平らな耕地と雑木林に囲まれたこの展示場は、今から13年前の1999年に開設された。初めて家を建てる若いファミリー向けのコンパクトな家から、最新のパッシブハウスまで様々なタイプの住宅が約60棟建ち並んでいる。

駐車場に車を止めて管理棟の入り口を入ると、やさしそうな笑顔をした女性がいるカウンターがあり、ここで入場料4ユーロ(400円ほど)を払う。なんと、この展示場を見るにはお金がかかるのである。

日本の展示場はどこも無料で、運営経費や維持費はモデルハウスを出展している会社の賃料で賄っている。結局この費用は住宅の価格に反映される事になる。住宅会社にとって展示場は有効な集客場所ではあるが、膨大な費用もかかるのでそれほど容易く出展できないのである。

展示場自体の維持管理に必要な費用は来場者に一部負担してもらう事で、住宅建築を考えている人だけに来てもらう方が現実的であるという考え方は利にかなっている。さすがドイツ、実に合理的である。

管理棟内には軽食も取れるカフェとカタログや住宅雑誌が用意されたギャラリー、2階にはセミナールームがある。家や暮らしに関するセミナーが頻繁に開催され、毎週末には多くの人で賑わうという。訪れた日は、平日であいにくの雨だったが、それでも数組の来場者がいた。

管理棟を抜けて場内に入ると、サッシのカットモデルや階段のサンプルが入ったガラスケースが立っている広場あり、その左手には暖房機器(ガスから薪まで扱う)会社のショールーム棟が建っている。このショールームは、ユニークな形をしており非常に特徴的な外観をしている。

場内は、きれいに整備されていてとても見やすい。60棟あまりのモデルハウスの中には、開設当時から建て替えていない住宅も多くある。13年間も同じ住宅が建っているなど日本の展示場では到底考えられない。

ヨーロッパでは、古くからある街並みを大きく変えないように住宅の外観デザインに規定を設ける街も多く、古くからある伝統的なスタイルや流行に左右されないトラディショナルなデザインの住宅のニーズもあるので、頻繁に建て替える必要が無いのだ。

これらの住宅は変更された建築基準に合わせて、一部の設備変更程度の改装がなされているだけである。この手の住宅は取り立てて見るべき部分は少ないように感じるが、見様によっては、この住宅展示場を見るだけで、ドイツの様々な住宅のスタイルがすべて見られるわけだから、実は非常に興味深いのである。さらに、住宅に求められる機能や性能の変化も判る。

階段の見本が入っているガラスのケースの向こうに見える、円形の建物は暖房機器会社のショールーム棟。大きな窓、通気外壁など、新しい技術が取り入れられている。
階段の見本が入っているガラスのケースの向こうに見える、円形の建物は暖房機器会社のショールーム棟。大きな窓、通気外壁など、新しい技術が取り入れられている。


きれいに整備された場内は、とても見やすい。
きれいに整備された場内は、とても見やすい。


広大な敷地の中に68棟の住宅とガレージ、ショールーム棟などが、住宅地のようにレイアウトされている。
広大な敷地の中に68棟の住宅とガレージ、ショールーム棟などが、住宅地のようにレイアウトされている。



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◆第2章 断熱材入りのレンガブロック造では、ドイツの厳しい新基準をクリアーできない。

(写真)内部に複雑な空気層を持つ、構造材断熱ブロックはそれぞれに熱損失係数が表示されている。

最初に訪れたモデルは、赤いサッシが印象的なモダンなデザインの家。ダイニングスペースは、床から天井までの大きなガラスが入れられ、日射をコントロールするブラインドが取り付けられている。

光がいっぱいに差し込むキッチンとダイニング、リビングスペースはスキップフロアーで変化を付け、低い位置にある変形の窓が雰囲気を醸し出す、定番の暖炉が組み込まれていて、なかなか心地の良い空間である。二階にも大きな窓が取り付けられ光が差し込む、主寝室と隣接するバスルーム、そして子供部屋が配置されたごく一般的なレイアウトのコンパクトな家だが中々洒落ていて若い夫婦が気に入りそうな住宅である。

最近のヨーロッパではこのような大きなガラス面を持つ明るい住宅に人気があるという。確かに、今までの家は、窓を小さくし、鎧戸をつける事でエネルギーロスを減らす事を考えてきた。

しかし、これだと部屋は当然薄暗くなり、曇り空の多い冬では昼でも明かりを点ける事が多くなり、結局エネルギーを余計に使う事になる。しかし、ここ数年で窓の断熱性能が数段と向上したため、光がいっぱいに差し込むように大きな窓を取り付けても、エネルギーは逃げない。

この住宅は対象客が若年家族なのでローコスト化が図られていて、ヨーロッパの低価格住宅の定番である中空のレンガブロックが構造材となっている。このレンガを組み上げ、棟木と垂木は集成材を使う、内部は壁と石膏ボードの間に断熱材を入れて塗り壁で仕上げる。

厚さ30センチはあろうかというこのレンガは、中に複雑な空気層を作ることで躯体の断熱性を上げている。さらに断熱性を高める為にガラス繊維を入れたレンガもあり、展示されていたサンプルにはそれぞれに熱損失係数が提示されている。

ヨーロッパでは、一般的に最も多く取り入れられている工法だが、ますます厳しくなる省エネ基準では、この構造材では、今後対応できなくなるだろうとモデルハウスにいたスタッフが語っていた。

この会社では、生き残るために木造にする事を検討していると言う。

大きな窓から光が差し込む明るく開放的なダイニング、スキップフロアーと変形窓など、なかなか洒落たインテリアの住宅は、人気のモデルだという。
大きな窓から光が差し込む明るく開放的なダイニング、スキップフロアーと変形窓など、なかなか洒落たインテリアの住宅は、人気のモデルだという。


赤とグレーの色使いがおしゃれな外観、赤いフレームの窓や扉は開閉できる
赤とグレーの色使いがおしゃれな外観、赤いフレームの窓や扉は開閉できる


太陽熱パネルと太陽光発電を載せた住宅は、ティンバーフレームで壁の仕上がりは一見日本の住宅のようにも見える。
太陽熱パネルと太陽光発電を載せた住宅は、ティンバーフレームで壁の仕上がりは一見日本の住宅のようにも見える。



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◆第3章 ヨーロッパの最新住宅は、木造在来住宅

最新の省エネルギー住宅基準に対応した新しいデザインの住宅も数棟建てられている。

中でも興味深いのは、日本の木造在来工法を進化させたような太い柱と梁を使った木構造住宅。柱と梁は、露出しない金物で結合され、厚さ10センチ以上もある集成パネルを2階のフロアーに使い、内部に木質繊維の断熱材や木片を充填した優に40センチ以上の厚さがある壁、さらに外側には高密度の木質繊維断熱材を貼るというダブル断熱構造になっている。

外壁は、断熱材を直に塗って仕上げ、柱を現して真壁にしている。一見すると日本の伝統的な住宅のようにも見えるし、柱を黒く塗った神殿を彷彿とさせるようなモデルもある。室内も木がふんだんに使われていて、とても心地が良い。木造の住宅は価格的には高価だがヨーロッパでも人気が高く、日本の美をモチーフにしたデザインは、インテリ層には特に人気があると言う。

これらの住宅で多く使われている自然素材でできた断熱材は、ガラス繊維やロックウール等の鉱物系、ウレタン等の化学系に比べて総合的な性能が高いので毎年高い伸び率を示している。中でも間伐材などから作られる木質繊維断熱材は、毎年4倍という勢いで生産が増加しているようだ。

やはり、木の家には木の断熱材が合っている。そればかりか、レンガ造の建物の外部に高密度の木質繊維断熱材を貼り、左官で仕上げるという使われ方もしている。

太陽熱パネルと太陽光発電を載せた住宅は、ティンバーフレームで壁の仕上がりは一見日本の住宅のようにも見える。
太陽熱パネルと太陽光発電を載せた住宅は、ティンバーフレームで壁の仕上がりは一見日本の住宅のようにも見える。


木質の高密度断熱材を貼り付けたIビーム風のスタッドの間に木質繊維断熱材を充填し、高密度の木質繊維断熱材を外に貼ったダブル断熱壁の厚さは30センチ程。
木質の高密度断熱材を貼り付けたIビーム風のスタッドの間に木質繊維断熱材を充填し、高密度の木質繊維断熱材を外に貼ったダブル断熱壁の厚さは30センチ程。


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◆第4章 窓の性能が変えた住宅デザイン。

(写真)ティンバーフレームと大きな窓、ショールームのような建物は、ダブル断熱の壁よりも断熱性の高い窓が開発された結果生まれた。

建物の一面がすべてガラスであるというのも、特徴である。

この様な住宅が登場するようになったのは窓の性能が飛躍的に良くなった結果の産物で、冬の長いヨーロッパ北部の人には、明るい室内と太陽の熱を取り入れて活用するというパッシブスタイルは、いわば憧れなのであろう。

ドイツの最高基準の性能を持つ『パッシブハウス』に使われるようなサッシは、25ミリの隙間を持つ3層ガラスにアルゴンガスを入れている。サッシ枠自体も、木製や樹脂などの熱伝導率の低い素材を使い、中を中空にしたり断熱材を注入したりしてより一段と断熱性能を高めた壁よりも熱損失が少ない窓が登場している。最近では、グラスファイバー製のスリムな枠や4層ガラスまで登場している。

ここまで窓の性能が高くなれば、太陽の光と熱をふんだんに取り入れて部屋を暖め、その熱を取り逃がさないという構造・デザインにすれば、光熱費はかなり削減出来る。冬の長いドイツでは、燃料に薪を使っていても暖房費は大きな負担、その暖房を太陽の熱で賄えれば一番安上がりである。何より太陽熱は、タダで無限にある。

その太陽熱を室内に取り入れる、いわゆるパッシブスタイルが可能になったのは、窓の性能が高くなったから、つまりは、窓が家のデザインを変えたのである。

この展示場創設時に建てられたモデルハウスは、ドイツではごく一般的に建てられている一時取得者向け住宅。
この展示場創設時に建てられたモデルハウスは、ドイツではごく一般的に建てられている一時取得者向け住宅。



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◆第5章 壁が移動する住宅、発電する壁を持つ住宅 etc


(写真)赤と黒のコントラストが目を引く壁に太陽光発電を取り付けた家。

他にも、興味深い住宅は沢山ある。

キッチンの食器戸棚、リビングの壁、ダイニングの壁が家の端から端まで移動して、様々なレイアウトに変化する家。間仕切り壁が移動して使用状況に応じて変化する事が出来たら、設計時にレイアウトで頭を悩まさなくて良いのではと考える。

日本にも壁を移動させてレイアウトを変えられる住宅はあるが、食器戸棚まで移動するのはあまり見た事が無い。扉も間仕切りも無いオープンバスルームの家、ツリーハウスのような仕掛けがしてある子供部屋の家など、アイデアの詰まった楽しい家。

壁に太陽光発電パネルを貼った家も興味深い。赤と黒のコントラストでモダンな外観の家で、太陽光発電を屋根から壁まで付けてあり、発電した電気を売電すると、電気代はプラスになるというプラスハウス。
いわば発電所みたいな家である。

発電状態をチェックする3畳ほどの機械室には、個々のパネルの発電量をチェックするメーターや総発電量と使用電気量がすぐにわかるメーター、緊急用のブレーカーなどが壁一面に並んでいる。さらに、吸気と排気の熱交換をする大型の熱交換換気システム、太陽熱を利用した蓄熱タンクとそれらの制御装置がずらりと並び、ビルのコントロールルームといった感じで、個人の家のものとは思えない設備である。

ドイツと日本では気候が大きく違うが、住宅に関する考え方、省エネに関する考え方の基本にさほど大きな違いは無い。この展示場を見て、我々にはまだまだ学ぶ事が多くあると感じた。

訪問した日は平日であいにくの雨、スタッフが不在で内部を見られないモデルも多かったのが残念である。改めて、ゆっくりと取材したいと考えている。

研究会では、この展示場や建築現場などを視察するツアーを企画している。興味がある方は参加してみたら如何だろうか?

天井までの壁一面だけではなく、食器戸棚まで移動する。
天井までの壁一面だけではなく、食器戸棚まで移動する。


ドアも仕切りも無いバスルーム。
ドアも仕切りも無いバスルーム。


階段の収納や塗り分けられた壁とツリーハウスのようなベットなど、楽しい工夫がなされた子供部屋。
階段の収納や塗り分けられた壁とツリーハウスのようなベットなど、楽しい工夫がなされた子供部屋。




ドイツ国内に4箇所の住宅展示場を持つバウセンター2012年05月08日【6】

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